
こんにちは!
DAIDOKORO副店長のそらです。
4月、冬があけ暖かくなってきた頃、京都市内から車を1時間ほど走らせて向かったのは、近江八幡。
今回、産地研修の受け入れをしてくださったのが、有限会社ヤマサ水産 の四代目・西居希さん。
湖魚を知り尽くした心強い案内人です。
この日のスケジュール。
9:00 能登川漁港着
9:00 出港・漁見学
10:00 帰港・水揚げ見学
12:30 昼食(各自で負担)
(近くのお店予約してます)
13:30 鮒寿司体験
15:00 解散予定
漁と水揚げの見学から、鮒寿司づくり体験まで盛りだくさんの内容をご用意くださいました!!
湖の上でおこなわれる、スピーディーな「相対取引」
まずは船にのって、フナの仕掛けがかかっているスポットまで移動します。
この日は、春らしい穏やかな天気でした!
仕掛けスポットに到着すると、漁をされていたのは大ベテランのご夫婦。
西居さんの親戚でもあるそうで、揚がった魚のやりとりなどスムーズに進んでいく姿が印象的です。

ここで魚が、漁師さんから西居さんの手へと渡されます。
市場での「せり」とは違い、湖魚は流通量が少なく足も速いため、このようなスピーディーな相対取引が一般的。人と人との信頼関係があってこそ成り立つ仕組みです。
湖魚ってこんなにおいしいんだ、、、
産地研修の楽しみといえばお昼ごはん!
今回訪れたのは、西居さんも日常的に魚を卸しているらいおん丸 近江八幡店 さん。
西居さんは、ここに魚を届けるだけでなく、「自分が食べたいから」と季節限定メニューを提案することもあるのだとか(笑)。そんな距離感の近さも、地域の魅力です。
そこで食べた、鯉のお刺身がおいしすぎて!!!!!
湖魚に対するイメージががらっと変わる、衝撃の一皿でした。

おいしいさのひみつは、加工の技術
西居さんは、「湖魚にはマイナスなイメージがある。だからこそ、それを変えていくのが楽しい」といいます。
この衝撃的な鯉のおいしさを知るべく、西井さんが働くヤマサ水産の加工場へと移動し、魚の処理工程を見学させていただきました。
まず驚いたのが、元気に泳ぐ魚たちの姿。
西居さんいわく、「魚は泳ぎ回っているあとは疲れてしまっているから、神経締めしても意味がない」とのこと。ヤマサ水産では、漁獲した鯉をいきなり締めるのではなく、2日ほど水槽でゆっくり休めてから処理に入ります。

しっかり休ませたあと、「池越し神経締め」という手法で、魚が一番リラックスした状態を見極めて締めていく。脳にピンを入れて素早く神経を止め、血抜きまで一気におこなう。この工程が、鮮度を保ちつつ、ぷりぷりの身質を実現する最大の秘訣。
「血抜きが一番大事」と西居さんはきっぱり言います。湖魚=泥臭いというイメージは、この丁寧な処理工程を見れば一変します。
人の手がしっかり入ることで、素材のポテンシャルが最大限引き出されいるのを実感しました。
みんなで鮒寿司づくり体験!
午後からは、楽しみにしていた「鮒寿司」の仕込み体験!
まずは、フナの下処理からはじめます。うろこをとって、エラと内臓をピンセットで取り除くところからスタート。シンプルな作業ながらも、魚に触れるひとつひとつの扱い方には緊張感が走ります。
(卵を残さなければならず、細かい力加減が必要で、思わず息を止めながらの作業でした…)
水洗いのあとは、水気を拭き取って粗塩でしっかり塩漬け。
これが「初夏」に行われる最初の工程です。

秋になると、塩抜き、そして飯漬けの工程に入ります。
そこからさらに半年〜1年ほど発酵・熟成させるため、今回5月に仕込んだ鮒寿司が食べられるのは、早くても年末ごろから、来年の初夏ごろということになります。
長い時間をかけて発酵が進むことで、味にも香りにもぐっと深みが出てくるのが鮒寿司の魅力。
完成までの時間もまた、楽しみのひとつです。
湖の恵みが、地域の食文化と人をつなぐ
湖魚の漁と加工、そして鮒寿司という湖魚文化に触れた今回の産地研修。
印象的だったのは「地元の魚をどうやっておいしく届けるか」を真剣に考える、みなさんの姿です。
DAIDOKOROのようなコミュニティキッチンも、まさにそのバトンを受け取る存在。
つくる人・食べる人・支える人。それぞれがつながる場があるからこそ、地域の食文化は循環していくのだと実感しました。
次回は、鮒寿司の飯漬け体験のようすをレポートします。
どうぞお楽しみに!
